GENJI topics Part3三角関係,匂宮,薫,源氏topics,浮舟,二条院,光源氏,源氏物語,紫式部,超訳
GENJI 【別冊】
GENJI essay
topics 46
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GENJI 【別冊】GENJI エッセイ
本章はGENJI topics です。
源氏物語のエピソードにまつわる管理人の雑感エッセイです。
あくまでも管理人の独断と偏見エッセイです。ゆる~く眺めてやってください。皆さまのまなじりが一瞬でも下がったり、口角が数ミリ上がったり、クスクス笑いのひとつでも漏れたのなら、管理人の望外の喜びとなります。
topics 46. コンプレックスの果ての略奪
第五十二帖 蜻蛉(Chapter 52 激流の果て)に寄せて
✈✈✈ Let’ go to GENJI world ✈✈✈
この源氏物語の登場人物にはなにかしら「欠けて」いるものがあります。
それは親だったり、報われない想いだったり、身分だったりもするけれど、皆その欠けているものを埋めようと恋人やパートナーに愛や癒しを求め、与え、支え合って生きていこうとします。
源氏は亡くした母の面影を求めて禁忌を犯しました。その後も成就することのない想いを埋め合わせようと生涯愛を求め続けました。
紫の上は実父や実家から認められず源氏に庇護されました。
明石の御方には身分が低いというコンプレックスがありました。
夕霧や雲居の雁は幼少時に両親がそばにおらずお互いに依存して成長しました。
皆、悲しみや辛さを抱えていました。
薫にも自分が誰の子なのかわからない闇がありました。
実父が柏木だとわかってからは自分が禁断の恋の罪の子だという翳を背負い、公には源氏の子だと偽って生きることになります。
Green-tea float
対して匂宮です。
父は今上帝、母は中宮。
申し分のない身分に華やかな容姿、抜きんでた才能、誰もが憧れる人気者。
なにもかも恵まれている匂宮には翳がありません。
望めば全てが手に入ったでしょう。叶わないことはなかったでしょう。
そんな匂宮の唯一と言っていいコンプレックスが薫です。
自分の方が身分は上だし、容姿だって教養だって負けていないはず。
それでも薫のことが気になって仕方がありません。
自分にはない知的でクールな性格
誰もが一目置いていて近づきがたい雰囲気
それに薫は匂宮と対抗する気がないだけに匂宮としては焦ります。争っていないのに負けている感がします。
薫は特に一番を目指しているわけでもなく誰とも争うつもりもありません。
匂宮のことも友人と思っているし、そもそも匂宮は血筋のいい皇族で誰の子かわからない自分とは違うし、容姿も才能も敵わないと思っています。
その薫は生まれつきいい香りが漂うので匂宮は対抗心で人工的に香を焚き染めます。
薫には負けたくない。
すべてにおいて。
匂宮の本心でしょうね。
匂宮の惚れっぽい性格は源氏と同じだと前にも書きました。
ただ陰のある源氏に比べると匂宮は単にカルい男子に見えてしまいます。
誰からも認められたい
誰よりも注目を集めたい
何事も一番でいたい
薫へのライバル意識がそうさせるのでしょうか
そんな薫が匿っている姫君がいるらしい
どうやら中の君も事情は知っているようだ
この前二条院で見かけた姫なんじゃないか?
中の君と薫の仲も疑わしい
俺だけがのけものじゃないか
薫のオンナ、んなこと知ったことか
二条院にいたんだから俺のモンだろ
奪ってやる
薫が浮舟を匿った宇治に突然匂宮は乗り込みます。
薫からの横盗り愛だろうが、周囲に説明ができない行動だろうがお構いなし。
浮舟を宇治川の対岸の小屋に連れ出しての密会デート。
今までにも略奪愛エピソードはありました。
源氏と藤壺女御との恋
柏木と女三宮の恋
源氏にも柏木にもそれぞれ相手の夫から奪ってしまうという罪の意識がありました。長い間相手を想い焦がれ、あきらめようともしたけれどそれでも抑えられない想いがあったと。
ですからどんなに想っていても奪いたくても奪えないというジレンマがありましたし、禁断の関係ゆえにその後それらの恋は成就しませんでした。
Matcha Macaroons
匂宮は浮舟と関係を持ったあとも罪悪感がないどころか我がモノにしようとします。
「薫より俺の方がいいだろ? 俺が迎えに行くから待ってろ」
「薫とは会うなよ? 寝るなよ?」
浮舟を牽制して薫から正面切って奪おうとします。
元々オンナ好きという性格だけに、匂宮が浮舟本人をどこまで愛していたのかも疑問です。薫の恋人だから欲しかったんじゃないの? と思えるのです。
男として負けているような気がする薫の恋人が薫よりも自分になびけば薫に勝てるんじゃないか。
浮舟がオレを選べば薫に勝ったことになるんじゃないか。
妻である中の君ですら薫を信頼しているのは面白くない。
悟りきって澄ましている薫から奪ってやる。
匂宮のコンプレックスがゆえの略奪だったのかなと思えてならないのです。
けれども匂宮の直情的な行動が悲劇を生んでしまいました。
匂宮も薫も浮舟を失いました。
正気を失った匂宮は仮病を装って家に引き籠ります。
薫は表面上は平静を装っていましたが匂宮の前で初めて涙を流しました。
その薫の涙を見て匂宮は動揺しました。己が引き起こしたのは恐ろしいほどの悲劇だったと気づいたでしょうか。
またもや叶わなかった薫の恋
対抗心が引き起こした匂宮の略奪
ふたりの想いに引き裂かれた浮舟
千年前の小説で描かれた三角関係は哀しい結末になってしまいました。
大長編源氏物語も残すところ2巻です。
この恋のその後が語られます。
いよいよフィナーレが近づいています。
世界最古の物語の最終回をご一緒に。
どうかお付き合いくださいね。
Matcha Millefelle To be continued ✈✈✈
小倉百人一首も【超訳】しています。
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