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源氏の世界⑩ 食べ物のおはなし

2022-04-30GENJI HEIANトリビア食べ物,HEIAN,平安トリビア,源氏物語,紫式部,超訳

GENJI 【別冊】

HEIAN トリビア

源氏の世界

食べ物のおはなし

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GENJI 【別冊】HEIAN トリビア

 千年語り継がれる不朽の名作『源氏物語』も実はツッコミどころ満載!?
 源氏物語をはじめ、平安時代の古典をより楽しむためのエッセイです。現代とは全く異なる家族の形態、暮らしの様式、恋愛模様など平安トリビアと源氏物語についてつぶやくトピックスなどです。


 古典を専門には学んでいないイチ源氏物語ファンの書く軽いタッチのハンドブックです。よかったらご覧になってください。トーク集などは妄想を含みますので、見解の相違もあるかもしれませんが、大目に見てやってください。史実、原作と異なる等、明らかな間違いはご指摘いただきたいのですが、基本的にはゆるく、広いお心でお読みいただければと思います。
 お歴々の源氏物語を研究されている方々、現代語訳をなさっている皆様、源氏物語ファンの皆様方、それから紫式部サマ、どうか怒らないでください。お願いします。

 本章はGENJI HEIAN トリビア です。
 源氏物語の舞台となった平安時代トリビアをご紹介します。

 源氏物語が書かれたのが約千年前(1008年頃)で、物語は当時より50~100年前あたりの醍醐・村上両朝(897年~967年)前後を想定しているらしいです。(参考文献:源氏物語の謎 増淵勝一著)
 そんな平安時代の衣食住にまつわる暮らし方や今とかけ離れた家族制度や恋愛観などをご案内します。

主な参考文献はこちら

 現代の暮らし方や考え方と比べながら楽しんでいただけたなら嬉しいです。

GENJI World ⑩ 食べ物のおはなし

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源氏物語を通して知ることのできる平安文化。現代とはかけ離れたアンビリバボーな恋愛事情。源氏物語を読んでいくと当時のお屋敷の豪華さ、衣装の華やかさなどの描写はまさに「これぞ豪華絢爛平安絵巻!」と感じることができるのですが、「衣食住」のうちの「食」の記述が少ないことに気づきます。

源氏の大豪邸六条院のお屋敷や季節ごとに造った庭などの「住」は源氏の恋物語の背景として常に描かれます。「衣」の部分である女君や女房達の色とりどりの衣装は物語に華を添えます。それなのに「食」は極力綴られていないんです。

どうやら食べる行為を人に見られることが恥ずかしいことだったみたいです。
 こう言うのも語弊があるかもしれませんが、カレシやだんなとエッチすることよりも彼らに自分の顔や食事しているところを見られる方が恥ずかしいカンジ。男女ともにそのようです。

今の恋愛なら
①まず出会って顔を見る
②お互い気になったのならふたりで食事に行ってみる
③お互い好きで付き合い始めてから深い仲になる
こんなステップでしょうね。

和柄

これが平安時代は
①お互い気になって会ってみましょうということになり、夜のデート
②朝を迎えて顔を見る
③いつ一緒にごはんを食べるのかは不明ナゾ
こういう順番ということでしょうか。

今ならふたりっきりでのディナーなんてとっておきのデートなのに源氏が女子とごはんを食べている場面なんてないのです。

 それに夜のデートなんだから月を眺めながらふたりでお酒を飲んで……なんてシーンもありません。ステキでしょうにね。お酒自体は男子同士の宴会シーンなどでよく出てきますが、女性の飲酒、食事シーンはないような気がします。そのくらい恥ずかしいシーンなのかもしれません。平安時代は「女性の飲食表現あり」なんていう物語はR18指定なのかもしれませんね。「性的表現あり」より上のレベルなのかも。

それでも源氏くんはじめ当時の貴族がどんなものを食べていたのか気になったので調べてみました。

ごはんは固く蒸した強飯こわいい
これを水に浸すと夏に食べる水飯すいはん
固粥かたがゆは現代でいうごはん
汁粥しるかゆは現代でいうお粥
ちなみにまだお茶はないのでお茶漬けにはできなかったみたい。
いまでももち米を蒸したものをおこわと言うのは強飯こわいいが語源らしいですよ。

肉は雉や鴨ですが、冷蔵庫があるわけでもないので干し肉だったよう。他にはイノシシやクマ(!)も食べていたんだとか。ジビエ、ですね。
 魚は琵琶湖でとれる淡水魚で、こちらも琵琶湖から徒歩で運ぶので干物です。(冷蔵や冷凍で運んでくれるトラックもありませんしね)

 第二十六帖【常夏】では六条院の池の東屋で鮎を食べるシーンがあります。夕霧や友人など若い男子達の目の前で料理人に調理をさせて鮎を振舞ったとあります。シェフを家まで呼び寄せての「おもてなし」ですね。ちなみにこのときは夏なんだけど、冬から保存しておいた氷をかき氷にして楽しんだとも書いてあります。冷凍庫もないのに冬の天然氷を氷室で保存しておいて暑い夏に食べるなんて究極の贅沢ですよね。さすが源氏くんです。

和柄

次は野菜、山菜、果物です。 
 第三十七帖【横笛】で朱雀院が山で採れたタケノコや山菜を女三宮に届けてそのタケノコを薫がかじって遊ぶシーンが描かれていましたね。
 ちなみに果物以外は生で食べることはなくなんらかの調理をしたそうです。

調理方法も「煎る」「煮る」「蒸す」などで、今のように「炒める」「揚げる」方法はまだなかったそう。
 調味料は味噌、酢、塩のみで砂糖・醤油はまだありません。それも調理時に味付けするのではなく、シンプルに煮たり蒸したりした料理に自分で調味料をつけて食べたんですって。
 お出汁はカツオを煮込んだ汁というのがあるらしくそれが出汁だったみたいだけれど、今のお出汁とは違うようです。いかにも京都らしい白みそのお味噌汁はまだなかったのかな。

 どうやら現代の「京懐石」とは違いそうですね。それからこの時代は1日2食だそう。日本全体に1日3食が広がったのはずっと後、江戸時代のことだとか。

和柄

資料を眺めていると「紫式部の食事」なんていう写真がありました。もちろん推定だそうですが、「おしながき」書いてみますね。

蒸しアワビはまちの切り身香の物(なす・瓜)ゆでわかめかぶのあつもの(汁もの)白米強飯こわいいひしお(味噌)干しいわし唐菓子

さすがベストセラー作家、豪華なお食事ですよね。上でも書いたとおり味付けされていない食材なので自分で~の調味料を加えて食べたようです。調味料も小皿でお料理と一緒に提供されるみたいです。

そして今も昔もやっぱり食後はデザート、でしょうか。上記のセンセイのお献立にもお菓子がありますね。
 スイーツは主に水菓子(フルーツ)と唐菓子からくだもの(スイーツ)があったみたいです。
 フルーツは桃、柿、梨、瓜、杏と今と変わらないラインナップですね。
 上記【常夏】のところでも紹介しましたが、かき氷も食べていたんですって。もちろんいちごシロップも宇治シロップもないけれど(そもそもお砂糖がないからね)、甘葛あまずらという植物の液を煮詰めて甘いシロップにしてそれを氷にかけたんですって。今で言うならメイプルシロップ風? かしら?
 それから【若菜】では梨、蜜柑みかん、椿餅などのスイーツが出てきます。柏木が女三宮の姿を見てしまった日の源氏や夕霧たちとの宴会メニューです。柏木はそんなスイーツには目もくれずボーっと女三宮のことを想っているんですけれどね。椿餅は道明寺粉で作ったお餅を椿の葉でくるんだものだそうです。

フルーツ
Fruits

それから食事やスイーツには欠かせない飲み物。お茶のルーツは中国です。奈良時代から平安時代に伝わったらしいのですが、最初は薬として服用されており、しかも高価だったので一度廃れてしまったらしいです。その後鎌倉時代後期に再びお茶が中国から持ち込まれ栽培されるようになります。千利休が茶道を極めたのは安土桃山時代ですね。ということは源氏くんたちはお茶は飲んでいないのかな。
 お酒は今の日本酒の原型となる透明色の清酒や白濁したにごり酒があったみたいです。やはり清酒は高級で貴族たち特権階級しか飲めなかったんだとか。源氏くんはもちろん清酒を飲んでいたのでしょうね。

日本酒
Japanese
Sake

京都の今宮神社の名物「あぶり餅」はなんと1000年以上前の創業。ひとくちサイズの串にさしたお餅にきなこをまぶして炭火であぶり、白みそのタレをかけたものです。ということは紫式部センセイやパトロンの藤原道長もお召し上がりになったかもしれませんね。
 もちろん、誰にも見られないようにこっそりとね。

でも……、出かけることもできずお屋敷にこもりきりの女性たち、女房たちと一緒に美味しいスイーツを取り寄せてきゃあきゃあと食べればいいのに、と現代人は思ってしまいます。胸キュン恋の話やダンナ・カレシの愚痴をこぼしながらね。
「あの人から和歌ラブレター来たのっ!」
「もう聞いて! 最近来てくれないのよ、カレ」
「このまえのスイーツも美味しかったわね」
「今度はあそこのお店のお菓子取り寄せてみない?」
「ね、ね、最新号の源氏物語読んだ?」
「読んだわーー! もうっ、うっとりよねぇ」
「どこかにいないかしら。光源氏みたいなヒト……」
 なんてね。きっと楽しいだろうに。そんなに恥ずかしい行為なのかしら。だから少しでも綺麗に美しく見えるように所作やお作法が考えられたのかしら?

文化に食生活に考え方。千年経っても変わらないものと変わるもの。
あぶり餅、食べたくなってきました。仲の良いお友達と一緒にね。

To be continued ✈✈✈

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