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chara-story 8. 晴れやかなる春

2023-05-24GENJI キャラ STORY冬の御方,明石御方,キャラ目線ストーリー,光源氏,源氏物語,紫式部,超訳

GENJI 【別冊】

GENJI essay

Character side story Ⅷ

晴れやかなる春
Sunny spring

Welcome to SenmojiGenji World!!

GENJI 【別冊】GENJI エッセイ

 千年語り継がれる不朽の名作『源氏物語』も実はツッコミどころ満載!?
 源氏物語を【超訳】しながら感じた管理人の個人的な雑感エッセイです。シロウトの感想なので偏った見方をしているかもしれません。


 古典を専門には学んでいないイチ源氏物語ファンの書く軽いタッチのハンドブックです。よかったらご覧になってください。史実、原作と異なる等、明らかな間違いはご指摘いただきたいのですが、基本的にはゆるく、広いお心でお読みいただければと思います。
 お歴々の源氏物語を研究されている方々、現代語訳をなさっている皆様、源氏物語ファンの皆様方、それから紫式部サマ、どうか怒らないでください。お願いします。

 本章はキャラクターストーリーです。
 キャラクター目線で物語を語っています。
 どのキャラクターか想像しながら読んでいただけると嬉しいです。

 あくまでも管理人の「きっとこんな風に想っていたんじゃないかな」との独断と偏見ストーリーです。

story 8. 晴れやかなる春
     ~ Sunny spring ~

✈✈✈ Let’ go to GENJI world ✈✈✈

桜の枝が届けられました。主上うえ様の第一皇女であられる女一之宮さまからでございます。
「里内裏の六条院の春の御殿の桜が見事でございました」
六条院に帰省なさっていらした女一之宮さまが母親の中宮様、そして祖母のわたしに桜の枝をお持ち帰りになられたとか。

わたしの娘は今上きんじょう帝の中宮で宮中一の貴婦人と評されております。 中宮様は親王様を4人、内親王様をおひとり産み参らせました。 第一皇子は春宮とうぐう様となり、いずれは帝へとご即位あそばされるでしょう。

わたしの娘が中宮
わたしの孫が春宮でいずれ帝に

中流階級の娘であるわたしに
しかも都から離れた辺境の地に暮らすわたしに
こんな未来が訪れるだなんて想像だにしていませんでした。
正直申し上げると望んでもおりませんでした。
父が夢のような話をしてきても
むしろそのような申し出はおやめくださいと願いました。

父がお連れした都の貴人
今は無位無官でも天主さまの皇子
その光り輝くその姿に誰もが憧れる
そのような方との結婚など恐れ多く
たとえ父の命であっても
とうてい受け入れられるものでありませんでした

あの方から文をいただきましたが
所詮田舎暮らしでの暇つぶし程度でしょう
あの方には都に愛する奥様がいらっしゃる
いっときの興味本位でわたしをからかっていらっしゃるのでしょう

それならば最初から捨て置いて
甘い蜜を吸わされたあとで打ち捨てられるくらいなら
始めなければいいのです
どうか
野に咲く花は摘むことなく
野原で咲かせてやってください
たとえそこが華やかな都でなくとも
野の花は野の花らしく一生を終えてゆく

それなのに

夢を見てしまいました

あの方と文を交わし
気持ちを通わせ
あの方の想いにすがってしまいました

あの方はいずれ都に戻られる方
わたしは野原に打ち捨てられる

こんな風に思いたくなくて
あなたを拒もうとしたのに

あの方には何にも代えがたい愛しい奥様がいらっしゃるのに

わたしは身分違いで 都にすら住んでいないのに

愛されたいと願ってしまう
お側に置いてほしいと思ってしまう

そして授かった命 この子があの方とわたしを繋いでくれる

あの方の庇護をうけるために上った京の都
朝廷の重職を得られてあの頃よりもますます輝かんばかりのあの方
変わらずわたしのことを愛してくれますが、
娘の将来のために残酷な提案をされました。

―― 母親の身分を上げるために紫の上さまに娘の養母になっていただく ――

わたしの身分を上げることができないのなら身分の高いあの方の奥様に養母になってもらおうという考えです。
わたしの母も賛成しています。母親の身分で娘の結婚や将来に差しさわりが出るからと。

お慕いしているあの方とのこども
何より愛おしい娘を手放す
こんなに辛いことがあるでしょうか

そして姫が手元にいなくなったわたしの元にあの方は通ってくださるのでしょうか
あの方の「一の人」と誰もが認める紫の上さまと一人娘の姫の元を離れないのではないでしょうか
京まで上ってきて、娘を取り上げられ、わたしは打ち捨てられるのでしょうか

それでもわたしのことより娘の将来のため
あの方のおっしゃるとおりに

雪降る冬の日の別れ

娘との別れ

わが身を生きながらふたつに裂かれるような痛み

愛らしい娘

可愛らしい微笑み

微笑ましいおしゃべり

3歳という年齢ではきっとわたしのことは記憶に残らない

雪降る冬の日の別れ

どうか幸せに

紫の上さま

どうか

どうか

娘をよろしくお願い申し上げます

娘を手放したわたしをあの方は気遣ってくださいました
紫の上さまが娘を可愛がってくださる様子も伺います

夫が他の女に産ませたこどもを育てる
愛情をこめて養育する
女にとってこれほど難しいことがあるでしょうか
紫の上さまにはどれだけ感謝してもしきれません

いくつの冬が訪れ過ぎていったことでしょう
娘の想いは積もるばかりで雪のように溶けることはありません
いくつの春が巡ってきたことでしょう
花は美しく咲きますが愛しい娘に会うことは叶いません

姫が入内する際に紫の上さまからわたしをお側に置いてくださるようご配慮を賜りました
側付きの女房という形ですが姫にお仕えできる
姫に、娘に会うことができる

明るく可憐に成長した娘

春の花が一斉に咲きこぼれるような雰囲気

波打つ豊かな黒髪

優しい心遣いのできる声掛け

ああ
紫の上さまはなんと素晴らしい姫に育ててくださったのでしょう
輝くようなお姿
お優しいお言葉
我が娘ながら
非の打ちどころのない姫君に育てあげてくださった

初めてお目にかかった紫の上さまは
此の世にかくも美しい方がいらっしゃるのかと言葉を失いました
そしてわたしを娘のそばに置いてくださるお心映え
身分が低く田舎で育ったわたしを認めてくださるお優しさ

この方こそあの方にふさわしいお方
あの方のお心をとらえて離さないお方
紫の上さまというお方はなんと素晴らしい方なのでしょう

中宮様や皇子さまがたにお仕えし、
紫の上さまとも親しくお会いできるようになりました
美しく
優しく
賢く
紫の上さまの魅力に感じ入ってしまいます

あの身を引き裂かれるような思いで娘を手放した冬から幾星霜
このような晴れやかな春を迎えられるとは想像もできませんでした

唐から取り寄せた青磁の壺に桜を活けます
御簾内までにも春が訪れます
華やかで美しい薄紅色の花
咲き誇る満開の花は紫の上さまを想いおこさせます
春の御方と称されるほど春を愛された紫の上さま
今頃は極楽浄土であの方とお過ごしのことでしょう
六条院の春の御殿を天上から眺めているやもしれません

桜
爛漫の春

「中宮様がお呼びであらせられます」
「すぐに参ります」

 参上の文をしたため典侍ないしのすけに託します
 宮廷一の貴婦人であられる中宮様であり、わたしの愛おしい明石の姫君
 ご一緒に桜を眺めながらあの方や紫の上さまの想い出話にも花が咲きそうです

陽ざしを受ける桜の花
今年の春も穏やかに過ぎてゆくようです
Character side story Ⅷ 明石御方 side
晴れやかなる春 
 ~ Sunny spring ~ 

To be continued ✈✈✈

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